帝大教授酒井俊蔵の恩情で立派な教育を受けた早瀬主稅は、兄妹のようにして育った酒井の娘妙子が自分に戀をよせているのを知り、これを受けては義理ある先生にすまぬと、酒井家を出た。そして魚屋めの惣の世話で、かねてから戀仲だった柳橋の蕓者お蔦と、先生には內(nèi)証で世帯を持った。かつての酒井先生の情人で、妙子の実の母であるお蔦の姉蕓者小芳は、身分違いの戀の不幸を主稅に説くが、主稅は、蕓者を妻にするのが出世の妨げなら出世せぬまで-と、初志を変えない。ところが、ふとしたことで主悅に恨みを持つ、靜岡の権勢(shì)家の息子で同窓の河野英吉は、さまざまな策動(dòng)をして主稅をスキャンダルにまきこみ、さらにお蔦のことを酒井先生に告げて処分を迫った。酒井は主稅をかばいつつも、お蔦とは別れさせるといわざるを得ない。酒井から、俺か女かどちらかを選べと迫られ、主稅はやむなくお蔦と別れることを決心し、... (展開全部)