初めて岡部たかしと挨拶を交わしたのは去年9月、自身が立ち上げた演劇ユニット「切実」の稽古場だった。岡部は「今からやるので、感想聞かせてもらえますか? 初めて人に見せます!」と笑う。 のらりくらりとした佇まいで、おだやかな関西弁を話す。芝居中の語気や表情の機微は、日常に溶け込むように自然でいて、なぜか面白い。芝居中は一瞬たりとも気を抜かず、役の空気を纏っているが、稽古や本番が終わると一転、お茶目な表情をクルクルと変えながら周囲を和ませる。 今でこそ売れっ子の岡部だが、ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。高校卒業(yè)後、建設會社で現(xiàn)場監(jiān)督を務めたが、職場に馴染めず1年で退社。フリーター生活が続くなか、大阪で観た「劇団東京乾電池」の公演に感銘を受けて役者を志し、24歳で上京する。役者とアルバイトを掛け持ちする日々で、うまくいかない狀況を周りのせいにすること... (展開全部)