承安四年、牛若丸は鞍馬山蓮忍の仏門下にあって平家全盛の世を忍んでいた。母常盤は、子供三人の命代りに、平家に屈辱の身を下し、一條大蔵卿の妻となった。牛若に思慕を寄せるのは、うつぼという里の乙女だった。京では平家の橫暴によって新宮の領(lǐng)を追われた熊野別當(dāng)湛宗の訴訟をめぐり、弁慶はじめ山法師達(dá)と平家一門が対立していた。牛若の命を狙う張本人は平忠盛であったが、弁慶は蔭ながら牛若を助ける立場(chǎng)になった。ある時(shí)、うつぼは鞍馬山を下りた牛若を追った。折柄、弁慶等と教経旗下の一黨の騒亂に捲き込まれたうつぼは、教経の鞭に打たれて路上に倒れたが、それを見た牛若は思わず教経を打ち據(jù)えた。だがそれが清盛の耳に達(dá)し牛若の危険は迫った。一條大蔵卿は清盛に牛若の命乞いをしたため、若狹の國へ移されることになった。牛若は常盤との最后の対面のため一條邸を訪ねた。その帰途、五條橋上で弁慶が教... (展開全部)