渡世の義理から人を斬った文吾は、七歳になった息子の健一を連れて追手の手を逃がれていたが、旅から旅への文吾の顔には疲れと暗さが刻まれていた。とある飯場で、巖崎木材を女手で切り盛りする健気な娘美樹に雇われた文吾は、土地の顔役富高組の圧力と戦わねばならなかった。美樹の勧めで健一を小學校に入れた文吾は、たまたま、富高の世話を受けているかつての女房奈津江に會ったが、夫婦のヨリが戻るわけでもなかった。酒びたりの奈津江に健一を任せる気にはなれなかったのだ。文吾を仇と狙う鎌鼬の辰という男が、この飯場に現(xiàn)われたのはそんな時だった。ある日、富高組が通學列車もろとも鉄橋を爆破して、巖崎木材の積み出しルートを潰そうとしている計畫を奈津江から知らされた文吾は、列車に乗っている健一の命を守るためもあって、富高の計畫を未然に防いだのだが、奈津江とは健一を挾んで再び対立するのだった... (展開全部)