白癡女お照に狼藉せんとした風(fēng)間一角道場(chǎng)の荒くれ侍を、一瞬のうちに斬って捨てたのは、今井宿から流れて來(lái)た狼之介だった。その目の前を三つの唐丸駕篭が通りすぎた。一つは幕府金鉱檜笠山見廻り役を斬ったという孫兵衛(wèi)、一つは江戸の怪盜黒貓の鬼八、最後の一つは鬼あざみのお蓮が乗せられていた。狼之介は大きな興味をもって、唐丸駕篭の後を追った。不敵な面魂の孫兵衛(wèi)が、尋常の遣い手でないことを知ったからだ。そのため檜笠山の麓で孫兵衛(wèi)を襲った刺客の一団を追いちらしたりなどした。廃坑となって捨てられた檜笠鉱山で、この孫兵衛(wèi)と甚六という山師が、砂金の鉱脈を発見し、孫兵衛(wèi)が見廻り役を斬ったのも、この秘密があったからなのだ。甚六は必ず孫兵衛(wèi)を助けると約束しながら、刺客を放って砂金の一人占めを図ったのであった。一方、風(fēng)間道場(chǎng)の主一角は、狼之介に果し狀をつきつけた。狼之介は孫兵衛(wèi)の駕篭... (展開全部)